Computational Fabricationについて

Computational Fabricationについて

デジタル・ファブリケーションとは、各種工作機械を媒介とし、抽象的な「デジタル・データ(数)」と具象的な「マテリアル(物質)」、両者の関係のつくりかた自体を、探索・探求していく行為です。

コンピュテーショナル・ファブリケーション・グループ(Computational Fabrication Group)は、2012年4月に慶応義塾大学田中浩也研究室(Fab Research SFC)内の数学ゼミ(MathFAB)を母体として発足した研究グループです。このグループは、数による「デジタル・データ/デジタル・コード」と、物質の「マテリアル/テクスチャ」の関係を、探索的・構築的に開拓していくための基礎的なソフトウェア群を開発し、それを用いた一連のスタディを行います。

1990年代、コンピュータ・グラフィックスの登場に合わせて、デジタル・データ(数)とグラフィックス(描画)の関係を探索するツールとして、Design by Numbersが開発され、その思想はProcessingに継承されました。本研究グループでは、その精神に学びつつ、Processingを「グラフィクスのためのプログラミング言語」から「ファブリケーションのためのプログラミング言語」へと進化させていくことにも取り組みます。

本研究のアウトプットはさしあたり、4つの系統に整理していきます。
ひとつめは、「2ヘッド3次元プリンタ環境」を前提とし、3次元立体の「形態・組成・構造」を一体的に設計/生成するためのツール群を整備していくものです(A系統)。ふたつめは、「2糸型デジタルニッティングマシン」 や「カッティングマシン」を前提とし、やわらかい膜や面や殻の「形態・組成・構造」を一体的に設計/生成するためのツール群を整備していくものです(B系統)。みっつめは、上記の2つ以外の日頃の「思いつき」を蓄積していくものです(C系統)。よっつめは、何か特定のインタラクションやサービスのために複数の機能をまとめた「アプリ」です(D系統)。

Processingのコードは「スケッチ」と呼ばれる単位でまとめられています。わたしたちもまた、日常の「スケッチ」の感覚で、あたらしいつくりかた(ファブリケーション技法)をスケッチして蓄積していきたいと思います。